オゾンについて
最近、奈良県立医科大学や、藤田医科大学の研究から、オゾンが新型コロナウィルスを不活化させる効果があるということが報道されました。
当院でも、オゾンを積極的に取り入れ、感染リスクを低下させる取り組みをしておりますのでご紹介します。
1.低濃度気相オゾン発生装置を用いて院内の空気をきれいにしています。
2.液相オゾン生成器で作ったオゾン水は、手洗い、洗口のほかに、院内清掃、清拭に活用しています。
http://www.naramed-u.ac.jp/university/kenkyu-sangakukan/oshirase/r2nendo/ozon.html
https://www.fujita-hu.ac.jp/news/j93sdv0000007fdg.html
オゾンは、約160年前に発見された物質で、強力な酸化力を持っています。欧米では古くから上下水道の除菌などに利用されてきました。
自然大気中には、太陽の紫外線により微量なオゾンが発生し、空気中には、一般的に0.01~0.05ppmのオゾンが存在しています。
近年、わが国でもオゾンの除菌消臭効果が認められ、身近な分野で利用されています。
オゾンは優れた特性を持った物質ですが、高濃度のオゾンは人体に有害であり、オゾンを利用するには、効果と安全性を両立した濃度コントロールが必要となります。
日本では、0.1 ppm以上が、セキや涙がでるなどの人体への影響が出る数値として、日本産業衛生協議会が勧告する作業環境基準濃度として定められています。アメリカ、ベルギー、スウェーデン、スイスも同様です。ただ、オゾン先進国といわれているフランスでは、オゾンに関する基準はありません。これは、オゾンには特有の臭いがあるため、人間は危険を察知して、回避することができることと、オゾンの影響は個人差が大きく、我慢できなくなった濃度がその人の基準であるという考えによるもので、現実に日本を含めて、オゾンによる重大事故は一件も発生していません。
したがって、オゾンは濃度コントロールを正しく使用すれば、安全で有効な物質ということができます。
オゾン殺菌の仕組み
細菌細胞は、染色体の外側にたんぱく質と脂質からできた柔らかい細胞膜があり、その外側にタンパク質、多糖、脂質でできた細胞壁があります。
オゾンが空気中に放出されるとオゾンと水分が反応してOHラジカルが生成され、硬い細胞壁を酸化破壊しはじめます。すると、細胞浸透率が変化し、酵素の活性が失われ、核酸が不活性化されることにより、細菌は死滅します。
オゾンと塩素殺菌の違い
オゾンは強い酸化力で、細菌の細胞膜を破壊し分解することによって死滅させます。
→→→→→ 速効的殺菌性
塩素の殺菌力は、濃度に比例し、細菌の細胞膜を通過して核酸を攻撃し、酵素を侵すことにより細菌を死滅させます。
→→→→→ 残留殺菌性
塩素は、残留することにより殺菌効果が持続し、細胞膜を通して細菌の核酸を攻撃する死滅法のため、耐性菌ができやすくなります。オゾンは、細胞全体を破壊するので耐性菌はできにくくなります。
また、オゾン水は、使用後もすぐに分解して酸素に戻るので、残留毒性の心配もなく安全です。