唾液は心強い健康ガードマン!

口が乾いてカラカラになったり、口の中がネバネバしたりする…こうした人は、ひょっとしたら唾液が少なくなっているのかもしれません。

1日に1~1.5リットルもの量が分泌される唾液。その役割は驚くほど多彩で強力なパワーがあり、それだけに不足すると健康にさまざまな影響が現れてきます。あなたの唾液は十分ですか?

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知っていますか?唾液の役割はこんなにたくさんあります!

 口の中をきれいにしたり、消化を助けたりと大活躍

虫歯や歯周病は気にして熱心に歯磨きをするけれど、意外に注意を払わないのが唾液ではないでしょうか。ところが、唾液には、驚くほどたくさんの働きがあります。

唾液の水分が、口の中に入った食べ物を湿らせ飲み込みやすくしたり、口の中を適度に湿らせて発音を助けます。また、唾液は歯や舌の表面についた食べ物のカスや細菌などを洗い流してくれます。食べ物の味物質を溶かし、舌などにある味覚を感じる味蕾に取り込まれやすくするのも唾液の大切な働きです。

唾液って、実はこんなに働きもの!

~唾液の役割~

  • 円滑作用…食べ物や、口の中を湿らせることによって、飲み込みや会話をスムーズにします。
  • 洗浄作用…唾液により噛んだ食べ物が口の粘膜や歯の表面に当たり、

口内が機械的に清掃されます。

  • 溶解作用…味物質が味蕾にある味覚を感じる受容体と反応するのを助け、味覚を促進させます。
  • 抗菌作用…唾液中に存在する抗菌作用をもつさまざまな物質が、病原微生物に抵抗します。
  • 消化作用…唾液中の酵素が、食べ物の中のでんぷんを麦芽糖に分解し消化を助けます。
  • 緩衝作用…口の中のpHを一定に保ち、歯垢のpHが酸性に傾き

虫歯の原因となるのを防ぎ、溶けかけた歯を修復します。

  • 保護作用…唾液たんぱくによって、歯の表面に皮膜を作り、虫歯を防ぎます。

唾液の減少は口腔内だけでなく、全身にも悪影響を与えます

唾液の量が減ると、前述した働きを十分に得られなくなり、さまざまな口腔内のトラブルを招きます。

・口臭が強い
・食べ物が飲み込みにくい
・会話がしづらい
・口が乾く

こんな症状に心当たりがある場合には注意が必要です。

唾液の分泌が減少し、慢性的に口の中が乾燥した状態をドライマウス(口腔乾燥症)といいます。ドライマウスになると、虫歯歯周病口腔カンジダ症などの病気を引き起こしやすくなります。

近年、歯周病や心血管疾患、動脈硬化のリスクを高めることが明らかになっています。唾液の減少は歯周病になりやすくなることから、これらの病気の発症にも影響すると考えられています。

気付かぬうちに唾液の量は減っています!加齢やストレス、薬。

自分で気付きにくい習慣に原因があるかも

唾液が減る原因はさまざまです。一つには加齢があります。男性は加齢による唾液の分泌量の減少は緩やかですが、女性は更年期のころから女性ホルモンの減少による自律神経の乱れからグッと減ることがあります。ドライマウスの患者さんに中高年の女性が多いのもこのためと考えられています。

そのほか、降圧剤、抗うつ薬、睡眠薬、利尿薬、鎮痛薬などの副作用によって唾液の分泌が抑えられることがあります。

唾液不足の原因と対策

××女性ホルモンの減少による自律神経の乱れ××

➡よく笑いましょう。深呼吸したり、リラックスできる生活環境が自律神経を整えるのに役立ちます。

××噛まない食生活××

➡食べたいものをおいしく味わい、しっかり噛んで食べることで唾液分泌が促されます。

××ストレス××

➡上手にストレスを発散できるように、友人とおしゃべりしたり、スポーツなどで気分転換しましょう。

××薬の副作用××

➡中高年には、服用している副作用による唾液の減少もみられます。思い当たる場合は主治医に相談してみましょう。

××口呼吸、いびき××

➡ひどい人は、歯科医などでマウスピースを作ってもらうとよいでしょう。

唾液を増やすことが健康や美容に不可欠です!

健康を維持・向上させるには、唾液の分泌を促すことが欠かせません。そのために日常生活においてぜひ心がけたいのがリラックスすることです。おいしい食事や楽しい会話をすれば副交感神経が優位になり、唾液分泌が促されます。

リラックスした状態になったら、唾液たっぷりの口にするためのストレッチや唾液腺マッサージを行いましょう。

~おいしいものを思い浮かべながら唾液不足解消~

★くちストレッチ★

①唇を「ウー」ととがらせる
②口を「イー」と横に開く
③頬を膨らませる
④頬をすぼめる
⑤舌を前へ突き出した後、唇の上下左右を舐める

★唾液腺マッサージ★

①耳下腺(じかせん)への刺激

頬骨と耳の穴の間のあたりを人差し指、中指、薬指の3本で押さえたまま、円を描くように動かします。

②顎下腺(がくかせん)への刺激

耳の下の出っ張った骨と下顎の正面とのちょうど中間あたりを親指の腹でそっとなぞります。

③舌下腺(ぜっかせん)への刺激

親指で顎の下から舌を押し上げるようにしっかり押します。

口のストレッチやマッサージは口輪筋や頬筋などの表情筋を鍛えることにもなり、美容効果も期待できます。ちょっとした合間に、おいしいものや酸っぱいものを思い浮かべながら行えば、より効果的です。

唾液にもっと関心をもち、分泌を増やして、健康な体作りに努めましょう。

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